マイナスかプラスか

10年前、母はガンになりました。

腫瘍のある部分を切除しても、リンパにも転移しており、

術後も抗がん剤の治療が必要でした。

私は、当時からケミカルが嫌いで、母にも、

化学治療より、食事療法を選択してほしいと思いました。

そこから、ありとあらゆる自然療法の門をたたきました。

いろいろ勉強した結果、ハリウッドスターにも人気の、

有名なある食事療法にたどりつきました。

ご縁を頂き、その世界でとても権威のある先生の診断を受けられることになり、

私は、これで大丈夫と安心したものでした。

ところが、母を診て頂いた結果、母の好物ベスト１０のうち、

９品目が食べてはいけないというアドバイスを頂いたのです。

この、食べ物があふれる時代、

私にとって、その９品目を食べないくらいは、

化学治療をするよりも断然良いだろうと思ったのですが、

母の反応はまったく違っていました。

いっきに曇った顔になり、こう言いました。

「この歳になって、食べたいものをこんなに制限されてまで、

長生きしたいと思わない・・・」

確かに、そうかもしれません。。。

私は、その言葉で食事療法をあきらめました。

あれから10年間、抗がん剤を飲み続け、

ガンの再発はないものの、

目に見える形で弱った部分が多々あります。

副作用の恐ろしさを、この10年、ずっと見てきたように思います。

しかし、今、食事に薬膳を取り入れて、

母に元気になってもらおうと思っています。

薬膳は、以前言われた、「これを食べてはいけない」とは言わず、

「これを食べましょう」と言います。

当然、母の好きではないものもありますが、

食べてはいけないではなく、

食べましょうなので、

あまり抵抗せず食べてくれています。

してはいけない！という行動の制限（マイナス）より、

こうしましょう♪というススメ（プラス）の方が、

人は受け入れてくれるのかもしれません。

おかげ様で、母の抗ガン治療もこの8月で丸10年になるので、

抗がん剤を飲まなくてよくなります。

ずいぶん、体は弱ってしまいましたが、

これから少しでも老化の速度をゆっくりにできるよう、

元気になる食事を、楽しんで食べて欲しいと思います。

マイナスより、プラス。

そう思うこの頃です。